お濃茶

生まれてはじめてお濃茶飲んだ。むちゃくちゃ緊張した。小さい、茶室の中で回し飲みをするんだけど、すべてが渋かった。掛け軸が某〜とか、お花が某〜とかは、私にとってはどうでもよく、一番、感動したのは、その茶室の造りである。茶室の中には電球がない。うぅっ、電球なんて言い方はダメだけど、灯りがない。ようは曇りだと相当くらい。たまたま夕方で西日が差していたんだけど、茶室の中の変な高さにある障子窓は絶妙なスポットライトを当てるのである!お茶を点てる人の顔には光を当てないが、手元、着物の胸元、茶釜の湯気に、斜めに光が射す。斜光なので、着物の生地の質がわかる。(だからって紬だとかそんな判別はできないが)嗚呼、写真撮りたい〜!THE JAPANって雑誌の表紙みたいな絵がそこに!う、美しすぎる・・・。オシャレすぎる。格好良い。(かっけぇ〜!って書いたけど、そんなお下品な言葉で表してはいけないぐらい、格好良い。もう、ボキャ貧の私には限界です。)


んでまた、宗家のお手前、素人の私が見ても、上手なのがよくわかる。テキパキと早いのだけど、安定感がある。うーむ、だからと言って、前回、書いたみたいに、お手前で人柄が分かるか、と言ったら、全然わからないなぁ。あえて言えば、宗家はやっぱり仕事でお茶を点てたはると思った。で、そのお濃茶、一杯の茶碗に五人分を入れて作らはるんやけど、抹茶の入れる量が半端やない。小さい抹茶缶一個分ぐらい入れる。で、どろ〜っとしてるんやけど、味はとろ〜りまろやかな苦み。苦いって言葉じゃない。甘みって言葉でもない。野菜の苦みも時として甘く感じる、その旨味。オイチカッタッ!


あ〜、あたし、なんでこんなところにいるんやろう。何かの間違いじゃないのかと何度も思った。


飲み方も、ぜーんぜん分かんないし、とりあえず、隣の人を真似たらいいって言われたって、自分に茶碗が回って来たら頭の中、真っ白になるしー。やけど、とろりんしたお濃茶が口に入って喉に通ったら、そんなんどうでも良くなってしまった。美味しいもんは美味しいねんて。私、この窮屈極まりないことに我慢するのと引き換えに、このお茶飲みたい。それほど飲みたい。たまらん。