袖振るのも多生の縁

多少の縁だと思ってたらちゃうのね。


病院の帰り道、けして良くはない結果に落ち込んでいたけれども、電車の隣に座ってた人からパワーをもらった。
今日は、何も書けないと思ってたんやけど、パワーをもらったことと、元気だして動き回れ!ということを自分に言い聞かすため、この会話を無駄にしないために、書き記そうと思う。


京都駅で奈良線の電車の壁のある隅っこに座って出発を待っていたら、なにやら絵かな?と思う四角くて薄い大きなものを風呂敷に包んで持ってるおっちゃんが私の隣に乗ってきはったん。どうも、真ん中だと大事な絵が傷ついたりしそうだなぁと思ったので、私は壁側の席を譲ってあげました。おっちゃんは60才前後やろか。身なりは色彩は地味ながらも、古い鞄を上手に持ってはったりなかなかのオシャレさんでした。きっと画家さんかなぁーと思った。席を変わってあげたので、おっちゃんはとても喜んではりました。「それは絵ですか?」と大きな物の正体を聞いてみたところ、「明治時代のガラス玉でできた暖簾」なのだそうです。おっちゃんは、文化財修復のお仕事をしてはる人でした。私が四角いのを絵だと思ったという点から、美術に興味があるんか〜?という会話に発展して、いろいろお互いの身の上話などがはじまりました。おっちゃんは、大学の先生をやってた時期もあったようで、私が今の研究がしたいのに続けられないこと、次の職場を探すのにストレスを感じていることなどを話すと大変理解を示してくださいました。あなたは美人なのだからもっと動き回ってがんがん仕事をなさるといい!と強く言ってくださいました。「はぁ、美人、、、ですかね〜?」とか言ってると、「でも、ゆとりがないな。化粧して髪型も綺麗にして、もっとゆとりを持ちなさい。そうしたらもっと素敵になる。仕事も引く手あまたになる。化粧がいかんなー化粧が。」と、ずーっと化粧がダメダメーとダメだしをくらってました。おっちゃんは、確かにおしゃれでパワーがあるんです。なによりも、純金製だと思われる金縁の眼鏡をしていて、ブランドではないけど良い生地を使った服を着てはりました。このおっちゃんと喋ってるだけで楽しくなるし、なんだかその、化粧さえちゃんとしたら運が向いてくるんじゃないかと非常に前向きになる気がしました。というか、前向きになりました。前向きになる力をもらったという感じかな。


がつがつ仕事してください、あなたみたいな人は。そして、周りからカッコイイ!て思われてください。あなたにはそういう顔立ちをしているのに、なんか悩んでるからやと思うけど、ゆとりがないなぁー、化粧が下手やなぁー。


だそうです。どうしてここまで励ましてくれはったのか、わかりませんけど、神の声やと思って、真摯に受けようと思います。
おっちゃんは私のことを気に入ってくださったようで、アトリエのある場所を最後に教えてくださいました。「たぶん、僕が電車を降りたらお互い会う事はないでしょうけれど、今日、こうやってあったことをお互いに大切にしましょう。凹んだらアトリエに来て見てください。」という挨拶をかわしてくださいました。なんとも不思議な、救世主にあったような、気分でした。