踏まれてしまった
もがきながら
死んでしまった
死んでしまった
頑張ってほしかったけど 頑張ってたけど 死んじゃった
あっけなく
一人で
独りぽっちで
踏まれる前に
ばたつかせる足が
止まった
死んだかと思ったけど また動いた
あのばたつかせは
なんだったんだろう
と
黄金虫も
魂となりて
思うに違いない
彼は
背中に床が付いていても
飛べたら
幸せな虫生活をおくれたのかもしれない
飛べたら
疲れるほどに
足をばたつかせる必要もなく
自由に
飛べたのに
そういう
制限が
あるからこそ
彼は 電車の中の黄金虫
なんだろうな
明日は雨らしい